機能安全登録適合性証明機関 登録番号2

安全・環境マネジメント協会

ワールドスピリット

2021年6月23日 機能安全導入の第一歩 (第2話)


東日本大震災直後の原発事故について

諸機関から発せられる情報にたいし、国内外から、本当のことが伝えられているのだろうか、という疑問が投げかけられました。この疑問はどこから来たのでしょうか?

震災直後を思い返すと、当事者から「想定外」という語が頻繁に発せられました。これが一つの原因ではないかと私には思えます。なぜなら、「想定外」というからには、何かを想定していたはずです。そして、その想定したことにどのようなプランで保護方策(注)がとられたのか、さらに、日頃からその想定とそれに基づく保護方策をアップデートしていたのか、これらを総合的かつ論理的に整理し、「想定外」だったと分かり易く説明しなければならないはずです。これが説明責任を果たす(accountability)です。

この説明もなしに「想定外」と言ってしまうと、どんな事故でも想定外として片づけてしまうことが出来てしまいます。また、それは思考停止状態であった、いやそれは現在進行形で継続していることを自ら露呈した言葉にもなります。

日本国民や海外諸国は「想定外」という言葉を聞いたとたんに、諸機関が思考停止状態に陥っていることを感覚的に見抜き、不信感を抱いたのだと思えるのです。

(注)

保護方策;protective measure 事故が発生する前に何らかの手段を講じること。

これに対して、事後に行うのは対策(counter measure)。両者は別のものとして使い分けられている。


- セイフティダイジェスト(公益社団法人日本保安用品協会)第57巻第9号 平成23年9月号(機能安全導入の第一歩: 石田豊)の【1.最近の事故から】から引用、加筆修正