機能安全登録適合性証明機関 登録番号2

安全・環境マネジメント協会

ワールドスピリット

2021年11月1日 機能安全規格適用のための協会の役割


良く知られているハインリッヒの法則とは、「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない「しまった」と思う失敗がある」というものです。

失敗は、必ずしも事故に繋がるわけではありませんが、1つの「しまった」を見つけ出し、それを次の改革につなげる組織文化を創っていくことが重要なことです。

私なりに理解した機能安全の神髄は簡単です。前回述べたように「安全はオープン」の一言に尽きると思います。設計、生産や営業を担当する皆さん方も当然人の子ですから、それぞれの持ち場で漏れやミスはあるはずです。従来それは個々人の心の奥深くに閉じこめられていたと思いますが、「安全はオープン」なのですから、それを第三者が引き出すシステム、組織文化がなければなりません。

機能安全規格のIEC61508-1では、開発の概念から廃却までを16項目(規格ではボックスという語が使われています。)に分け、それぞれのボックスで何をしなければならないかを説明しています。そして、それぞれに計画、それを実行するための手順、実施記録などの文書化を求めています。第三者に説明出来る文書とそのバックデータを取りそろえておくことがオープンの基本となります。

また、ソフトウェアは、「作った人しか分からない。」、と言っても過言でないくらいブラックボックス化しています。それを避けるためにIEC61508-3(電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第3部:ソフトウェア要求事項)ではソフトウェアの開発に節目を設け、節目ごとに評価→開発にフィードバック、という手順を繰り返しながら完成度を高めていく。これは the V-modelとして紹介されています。


協会の役割

機能安全と言えば、SIL(Safety Integrity Level:安全度水準 )の値を算出するテクニカルな部分にフォーカスされ、議論がなされてきたように思えます。ところが、SILの算出は前記全16ボックスの中のわずか1つにすぎない機械的作業です。

機能安全を導入しようとされる企業の皆様方は、全16ボックスの一つ一つに如何に対応していくか、検討しなければなりません。そこで、協会が提供するサービスについて、次回に簡単に紹介します。


- セイフティダイジェスト(公益社団法人日本保安用品協会)第57巻第9号 平成23年9月号(機能安全導入の第一歩: 石田豊)の【3. 機能安全規格】、および、【4. 協会の役割】から引用、加筆修正